なぜ、事実を伝えても納得しないのか?|意見が合わないときのヒント
意見が食い違ったとき、どう伝えればいいのか悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「こんなに説明したのに…」が通じない理由
「ちゃんと事実を伝えたのに、どうしてわかってもらえないんだろう…?」
誰かと意見が食い違ったとき、「これが正しいはず」と思って説明しても、相手がまったく納得してくれず、話がかみ合わない
──そんな経験はありませんか?
実は、人は“事実”だけでは簡単に考えを変えないということが、心理学や脳科学の研究でも明らかになってきているんです。
なぜ「事実」だけでは伝わらないのか?
最近見つけた論文で、この興味深い現象について解説されていました。
『Cognitive Biases and Brain Biology Help Explain Why Facts Don’t Change Minds
(認知バイアスと脳の生物学的要因が、事実が人の考えを変えない理由を説明する)』
この研究では、私たちが物事をどう「感じるか」「捉えるか」は、脳の構造や認知バイアスに大きく影響されていると説明されています。
私たちの見方を変える【バイアス】って?
たとえば、何か商品を買おうとする時。
- すでに「これはいいものだ」と思っていると、良い口コミばかりを集めて、悪い評価は見なかったことにしがち。
- 逆に、「これは怪しいかも」と思っていると、悪い評判にばかり目が行き、良い情報はなかなか目に入らない。
ざっくり言うと、コレが【バイアス】と言われるもの。
こうした“自分に都合のよい情報ばかり集めてしまう”というのは、私たちの誰にでも起こる自然な脳の反応なんです。
そうすると、いくら事実を並べても、相手の考えが変わらないのも当然なのかもしれませんよね。
対話のヒントは「共感」と「余白」
でも、だからといって、あきらめる必要はないんです。
大切なのは、相手の気持ちや立場にも目を向けながら、対話の中で“余白”をつくること。
たとえば、
- 「その考えも確かにわかるよ」とまずは共感を示して同じ目線に。
- 「こういう情報もあるけれど、どう感じる?」と相手自身もさらに一歩考える余地を残す。
といった、柔らかいアプローチが効果的です。
「意見を変えてもらう」のではなく、お互いにとって“居心地のよい理解”を目指す。
互いがイヤじゃない部分を互いに歩み寄って探すイメージです。
とっても小さな姿勢の変化かもしれませんが、これが結構、効果的に良い変化を起こすのです。
心が疲れたときは
意見の食い違いや、思いが伝わらないことは、時にとてもつらいものです。
気づかないうちに、心の中に疲れがたまっていることも。
もし、自分の気持ちを誰かと整理したくなったときは、心理カウンセラーを頼ってみるのもひとつの方法です。
お話や気持ちを整理しながら、一緒に考える時間を持つことで、少し楽になることもあるかもしれません。
🌸まとめ
- 人は“事実”だけでは納得しないことがある
- 認知バイアスは誰にでもある自然な脳の働き
- 対話では「共感」や「考える余地」がカギになる
- 心が疲れたら、安心して話せる場を持つことも大切
もし、誰かとわかり合えずに悩んでいたり、自分の考えに自信が持てなくなったときは、お話しを聴かせてくださいね。
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